2007年10月 3日 (水)

【采配之妙7】岡田流②「孵化」に導く手腕を学ぶ

【采配之妙7】岡田流②「孵化」に導く手腕を学ぶ

鳥谷敬内野手。東京六大学のスターとしておおいに騒がれて入団したスター野手です。藤本選手を押しのけて出場した一年目。.251、3HR、17打点の成績は正直やや物足りなさを感じるものでした。

二年目を迎えた鳥谷選手に岡田監督が用意したのは「二番・ショート」。あの松井選手ですら「できれば二番だけはちょっと…」と避けたがった、スラッガーとしてはあまりに不似合いな打順でした。

私も最初は意外に思いましたが、前回学んだように岡田監督の追い求める理想は攻撃野球。以前の交流戦中には「一番・スペンサー」や「二番・桧山」などの超 攻撃的布陣も披露済みです。ですから、鳥谷・二番もそのねらいの延長上のひとつの形と考えればあり得る話だと考え直し、一人納得していました。

ところが、「二番・鳥谷」にはそれ以上の岡田監督の思惑が込められている、と氏は言います。大事なキーとなるのは、彼の前を打つ「一番・赤星」の存在だというのです。
赤星選手を塁に出したバッテリーは当然盗塁を警戒します。その影響は配球面にあらわれ、必然的に直球が多くなるということは我々ファンでも想像がつきます。では、「多くなる」といいますが、実際どの程度直球の割合が増えるものなのでしょうか。昨年のデータがあります。

<打者鳥谷、走者なし> 直球47%、スライダー20%、フォーク12%
<打者鳥谷、一走赤星> 直球63%、スライダー12%、フォーク11%

実に16%も直球の割合は増加しています。これだけ直球を予想しやすい状況を利用して、バントやエンドランといった戦術の成功率をあげていくことができることも知っています。
岡田監督は、それとはひと味違った形でこの状況を利用しました。チームの将来を背負ってほしい一人の逸材に、よりのびのびとバッティングできる打順として二番を与えたのです。大半が直球という場面で思い切り振ってこい、そして早くプロに慣れろという親心とでもいったらよいのでしょうか。
鳥谷選手もこれに応え、二年目は.278、9HR、52打点まで成績を伸ばしました。細かく見ると、直球に対する打率と、前年ゼロだった左投手の投球を右方向にファールした数が大幅に上昇していたといいます。いかに思い切りよく振れていたかを物語る数値です。

「直球が多い」場面を戦術面とともに、一人の若手を最も輝かせる場として活用する。ここにも藤川・今岡選手らを飛躍させた岡田監督の選手観察の確かさを感じます。今季は「二番・濱中」という打順も見られました。赤星選手の次に置かれる打者に注目することで、岡田監督が期待している選手がうかびあがってくるかもしれませんね。


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2007年9月28日 (金)

【采配之妙6】岡田監督の慧眼に学ぶ

【采配之妙6】岡田監督の慧眼に学ぶ

今日からは、落合中日とともに優勝を争っている阪神・岡田監督をじっくりと観察してみたいと思います。
二軍監督時代すばらしい実績を残した岡田監督には早くから注目していました。一軍になってからも立派な結果を残しているわけですが、その一方で采配というより「動かないこと」や感情が見えにくいことなどを批判されることも少なくありません。

田端氏はそんな岡田監督を高く評価する一人です。その持論によると、監督の仕事というのは、
①試合前の采配
打順・ポジションの決定や投手の役割分担など、自軍の陣形を編成する
②試合中の采配
継投や代打などの選手交代、バントやエンドランなどの戦術的指示
であるとし、岡田監督は試合前の采配に特に優れた監督であるとしています。
●先発投手として伸び悩み、くすぶっていた藤川球児をリリーフに配置転換。日本一のリリーフ投手にたてあげたこと。
今岡誠を5番打者にすえて、2005年の打点王にした。
代表的な名采配の例が二つあげてあります。藤川投手のリリーフ転向がなかったら、その後の阪神の戦い方は違ったものになっていたでしょうし、なによりあれだけの感動を伝える投手をファンに届けた功績は確かに大きいですね。
今岡選手に対しても、5番にすえる際に、「打点王をとると思うで」との予言つき。結果、記録的な打点をマークしたのはご存じのとおりです。昨季~今季不調に陥り、スパッと二軍に落としましたが、一選手を最高に輝かせた名采配であることは確かです。

「クリーンアップにつなぎはいらん。好きに打ったらえぇ」
攻撃における岡田監督の理想は正面からがっぷり組んで相手をねじふせる野球。星野監督時代にうまく機能していたオーダーを崩し、金本選手を4番にすえ、理想の野球を追及してきました。必然的に「打て」の場面が多くなります。これが試合中采配をとっている場面の印象が少ない原因になっているといえそうです。
が、けして監督が何もしていないというのではなく、試合を迎える前に人並み以上の采配をふるっているということです。金本-今岡を主軸にしたオーダーを編 成し、監督のねらいを徹底させる。代打陣も当然攻撃力優先。'06年には桧山・林・片岡・町田・スペンサー・中村豊選手らがベンチに控えました。スラッ ガータイプ。だが守備はやや…というタイプの選手がこれでもかというほど並びます。反対に俊足のすばしこいタイプの選手の出場は激減しました。
こうして打つ手を打ったら、あとは選手に任せる。これが岡田監督のスタイルです。守備重視の落合中日とは正反対。それだけにこの2チームの対戦には非常に興味を覚えます。

そんな岡田監督ですが、ここ3年間、犠打数が67→85→103個と増え続けています。大きく影響したと思われるのが、「ナゴヤドームでの」中日との対戦成績です。
2004年 2勝12敗
2005年 6勝5敗
2006年 1勝10敗
今年はほぼ互角に戦っていますから、やはり岡田采配に変化が起きたと考えられます。攻撃力を中心にすえるスタイルは変わっていませんが、その周囲の部分で 采配の進化が起こっているようです。慧眼に加え岡田監督が何をものにしたのか。これも機会があれば調べてみたい気になる点です。


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2007年9月26日 (水)

【采配之妙5】'06落合竜に学ぶローテーション②

【采配之妙5】'06落合竜に学ぶローテーション②

前回、エース川上及び山本昌両投手をいかに活用しつくしていたかを学びました。では、残りのローテーションはどうなっていたのでしょうか?

●交流戦中のローテ
  (休)/川上-マルティネス-佐藤充/山本昌-朝倉-小笠原M
●後半戦第一週のローテーション
  (休)/中田-山本昌-川上/佐藤充-マルティネス-朝倉

川上・山本昌を離し、三連敗をくわない堅実策の交流戦。その川上投手の後半最初の登板は3連戦のラスト。出だしに間違っても三連敗は食わないという落合監督の心の声が聞こえてきそうです。
さて、氏が分析するエース以外の投手の配置の特徴が二つ。

①違ったタイプの組み合わせ
同じタイプを続けて打者に「慣れ」させない。「三連戦三人の先発で一セット」の視点を失わない。上の例を見ると速球派-技巧派-速球派、もしくは技巧派の間に速球派をはさむ形になっている。
②打者の「感覚のにぶり」を利用する
休み明けの火曜日は、打者の実戦感覚がにぶっている。そこをついて速球派をぶつける。2006年、火曜日に登板したのは中田11・川上8・朝倉4・マルティネス1…なるほど、ほとんど速球派ですね。

休み明けのところに豪速球を投げ込まれ、慣れてきたかと思った次戦でノラリクラリとかわされる…相手としてはたまったもんじゃないですね(笑)

何回かにわたって落合監督の「凄み」を学んでみました。そのすごさはどこをとってもぬかりなし、そして決めたことを徹底してやり抜くことにあるような気がします。守備を最重点と決めたらとことん強化する。攻撃においては1点を確実にとる。川相、奈良原、高代コーチ…補強においてもその姿勢はブレるところがありません。
この監督、このチームを相手に勝ち進むのは容易なことではありません。ですが、巨人には勝ってもらわねば(笑)次回からは他の監督さんにも学び、それが終 わった時点で巨人が優勝、そして日本シリーズ制覇するための道が見えてくればいいなあと思っているのですが。それにしてもすごいものです…強敵ですね^^


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